本文へ進む
ginji. AI実践ライブラリー特典一覧へ ↗
GINJI AI PRACTICAL LIBRARY

BOOK 07 · 2026年9月24日改訂

AIデバッグ
完全ガイド

「なんか違う」を、直せる言葉にする。

目安 35分13章実践テンプレート付き
この1冊のゴール失敗を再現し、原因の候補を切り分け、改善を確かめる
目次を開く
HTMLを保存

AIの出力が違ったとき、「もっとちゃんと」「プロっぽく」で直ることもあります。でも、それでは何が変わったのか分かりません。この本では、文章・資料・ファイル作成に共通する直し方を扱います。プログラムを書かない人にも使えます。

1. デバッグは、期待と実際の差を調べること

最初に書くのは犯人探しではなく、期待した結果と実際の結果です。「LPが変」ではなく、「スマホで申込ボタンが本文に重なり、価格が読めない」。観察できる形にすると、修正後も同じ基準で確認できます。

AIの失敗は、指示不足だけが原因とは限りません。古い資料、モデルの不得意、ツールの権限、保存先の間違い、表示環境なども関係します。指示を長くしても、読めないファイルが読めるようになるわけではありません。

2. 5つの場所を切り分ける

調べる場所 確認すること
指示 完成条件が具体的か 「短く」ではなく400字程度
資料 正しい版を読んだか 旧価格の原稿を参照していた
判断 根拠から結論が飛躍していないか 仮説を実績として断定した
ツール・環境 読取・保存・通信が成功したか 権限不足で保存できていない
検品 本物の成果物を開いたか HTMLを作ったが表示未確認

「文章が弱い」のように好みが関わる場合も、修正前後を比べられる条件へ分けます。冒頭で対象が分かるか、根拠があるか、次の行動が1つに絞られているか。見た目の好みは参考例を添えると伝わります。

3. 出力のズレを見つける6つの観点

前章は「原因がどこにあるか」の切り分けです。こちらは元教材で扱った「完成物のどこが違うか」を見つける6観点です。まずズレを見つけ、それから原因を調べます。

観点 確認すること ズレの例
目的 今回の読後行動に合うか 保存して使ってほしいのに、コメントの呼びかけだけで終わる
ターゲット 読者の知識・状況に合うか 初心者向けなのに専門用語を説明していない
口調・文体 本人の書き方に合うか 普段使わない大げさな表現、固すぎる語尾
情報 価格・実績・日程が根拠どおりか 資料にない数字をもっともらしく追加
深さ 具体例と本人の判断があるか 一般論の言い換えだけで終わる
出力形式 指定した型・分量・見た目か 表を頼んだのに長い解説、画像の文字が読めない

元教材にあった3つの修正事例

口調の事例。 銀次は「圧倒的にハマる」のような誇張が出たとき、誇張表現を避ける指示を追加していました。今後の依頼には、避ける例に加えて「確認できた効果を具体的に書く」という代わりの動作を添えます。

スライドの事例。 背景が暗く、文字が見づらく、装飾が寂しい出力に対して「背景を少し明るく」「金色のアクセントを追加」「ラインアートアイコンを大きく」と具体化していました。再生成後も文字を読めるか確認し、単に装飾を増やして終わらせません。

情報の事例。 当時、動画編集をAIへ任せた結果の精度が足りず、講座で無条件に任せられる業務として紹介するのをやめた例です。元スライドの修正指示には「動画生成は例に入れないで」とも書かれていました。ここで学ぶのは動画全般が今もできないという結論ではなく、実際に確かめた範囲だけを紹介する判断です。ツールや条件が変わったら再検証します。

4. 失敗を再現できるメモ

そのまま使えるテンプレート
【やりたかったこと】
【入力した依頼】
【使った資料と版】
【期待した結果】
【実際の結果】
【問題の箇所】原文・ファイル名・画面上の位置など
【再現する手順】
【使った環境】アプリ・OS・モデル・関連ツール
【変えてはいけないこと】

秘密のキーや個人情報は、問題の再現に必要な範囲で伏せます。エラー文を省き過ぎると原因が分からなくなりますが、認証情報まで貼る必要はありません。画面の問題は、どの幅・どの操作で起きるかを添えます。

5. 一度に1つの仮説を試す

そのまま使えるテンプレート
この失敗メモから、原因の候補を3つまで挙げてください。
それぞれを確かめる最小の確認方法を示します。
まず最も確かめやすいものを調べ、結果を見て次へ進めてください。
関係のない部分まで一括で書き直さず、問題に必要な範囲を直します。
修正後は、最初に失敗した手順で再確認してください。

たとえば「古い価格が入った」なら、語調・デザイン・構成を同時に変える必要はありません。どの価格表を読んだかを確かめ、現行版の参照へ直し、本文・ボタン付近・FAQの価格を照合します。

6. 文章を直す、具体的な言い方

曖昧な依頼 修正箇所が伝わる依頼
AIっぽさを消して 抽象語を減らし、各段落に具体例を1つ。未提供の実話は足さない
もっと読者に届くように 冒頭2文で「誰のどんな困りごとか」を示す
読みやすくして 1段落を短くし、同じ説明の重複を削る
売れる感じにして 内容・対象・条件を具体化し、根拠のない成果保証を削る
デザインを良くして 見出しの階層を3段階に整理し、スマホ幅で本文とCTAの重なりをなくす

「断定を弱める」だけでは役に立つ情報まで薄くなることがあります。確認できる事実は明確にし、未確認の部分だけを区別するのが基本です。

7. ファイル・ツールの失敗を直す

保存できなければ、まず保存先と権限を確認します。外部サービスへのアクセスに失敗したら、接続状態、対象へのアクセス権、機能の対応範囲を確認します。無関係なアプリを再インストールする前に、エラーが起きた場所を絞ります。

Claude Codeには環境別のトラブルシューティング、Codexには権限とサンドボックスの説明があります。仕様が変わる箇所は、古い解説のコマンドをそのまま実行せず現行の公式手順を確認します。Claude Code TroubleshootingOpenAI Sandbox

AIが「直しました」と言ったあとも、ファイルが存在するか、開けるか、元の問題が消えたかを見ます。実行できなかったチェックは、未確認として残します。

8. プロンプトを改善する5ステップ

  1. 自分のプロンプトで出力を1つ作る。
  2. 6観点で見て、変えたい箇所を箇条書きにする。
  3. 元プロンプトと出力と修正点を渡し、「指示をどう変えるとよいか」を聞く。
  4. 改訂プロンプトを、新しい出力で試す。
  5. 改善と副作用を比較し、必要な箇所だけ繰り返す。
そのまま使えるテンプレート
元のプロンプト、出力、私の修正希望を渡します。
今回の出力を直すだけでなく、次回も使えるプロンプトへ改訂してください。
残す条件/追加する条件/削る曖昧な条件を分け、改訂版全文を出します。
この1回だけの題材や日付は入力欄へ分け、全案件の固定ルールにしないでください。

AIに書き方を考えてもらうため、自分が最初から上手な指示文を作れなくても始められます。ただし指示以外に原因があるなら、資料・ツール・設定も直します。すべてをプロンプトの責任にしないことが大切です。

9. ピンポイント修正と、元の依頼を書き直す使い分け

直したい点が明確なら、1行を追加する方が早いこともあります。

起きたこと 次に入れる指示
意図せず関西弁になる 本文は標準語に統一する。引用の原文は保持する
スライドに「導入・本論・まとめ」という制作上の役割名が出る 役割名は設計用。完成画像には読者向けの見出しだけ表示する
ページ番号がない 右下へページ番号を入れる。本文や図に重ねない
ページ番号が不要なのに付く 番号は表示せず、その場所は余白にする

「絶対に」を重ねるだけでは、矛盾した条件やツールの限界は解決しません。重要な条件を明確にし、実際に守られたかを確かめます。

追加指示を何度も重ね、旧条件が残ってしまう場合は、最初の依頼を編集するか、改訂した依頼で新しい会話を始める方法があります。逆に、良い出力の1か所だけを直すなら続きの会話が便利です。チャットの依頼を編集しても、すでに保存・送信したファイルや外部操作が元に戻るとは限りません。ローカル作業ではファイルの版も合わせて確認します。

10. 自分で完成形を作り、差分をナレッジへ残す

箇条書きで「冒頭は共感調」「2つ目の例は子育て世帯向け」「結論は柔らかく」と返す方法は手軽です。それでも何度も意図がずれるなら、自分で直した完成形を渡します。元教材で銀次が多用していると紹介した方法です。

  1. AIの初稿を保存する。
  2. 自分で理想の形へ書き直し、別名で保存する。
  3. 2つを比較させ、何を・なぜ直したかを言語化する。
  4. 次回も使う変更だけをナレッジへ反映し、別の素材で試す。
そのまま使えるテンプレート
【AIの初稿】と【私の完成稿】を比較してください。
差分/意図として読み取れること/原文の根拠/次回の編集ルールの案を表にします。
推測した意図は推測と明記してください。
今回だけの日時・商品名・実績は汎用ルールへ入れません。
私が確認したルールを、今回の媒体のナレッジへ反映してください。

たとえば「今すぐ人生が変わります」を「今日は支出を1つだけ見直してみてください」へ直したなら、「成果を大きく約束する結びを避け、読者が今日できる行動で終える」という仮説が立ちます。本人がその理由を確認してから保存します。完成形にも解釈の余地はあるため、差分から意図を完全に読めるとは考えません。

11. 理想の画像を言葉へ変える3ステップ

  1. 使用できる自分の過去画像、または参考にしたい画像を用意する。
  2. 色味・構成・雰囲気・装飾に分けて、AIへ言語化を頼む。
  3. 自分の内容へ使える条件を選び、画像の生成指示やデザインナレッジへ保存する。
そのまま使えるテンプレート
この画像の見た目を、次の項目に分けて説明してください。
背景とアクセント色/見出しと本文の配置/文字の大小/余白/装飾/全体の印象。
画像から観察できることと推測を分けます。
人物・ロゴ・文章そのものの複製ではなく、私の別テーマへ使える設計条件にしてください。
最後に、次の生成画像で確認するチェック項目を作ってください。

画像の言語化は、文章の完成稿から差分を取る方法の画像版です。色や座標を厳密に合わせたいなら実測し、印象語だけで済ませません。生成した画像も目視して、見出しが読めるか、要素が重ならないか、情報が欠けていないかを確かめます。

12. 同じ失敗を減らすメモ

そのまま使えるテンプレート
# 修正の記録
起きたこと:
確認できた原因:
直したこと:
再確認の方法と結果:
今後のルールへ反映すること:
まだ確認していない範囲:

すべての失敗を永久ルールにする必要はありません。今回だけの日程は案件メモへ。何度も起きる保存先の間違いは作業ルールへ。商品条件の誤りは商品情報の正本へ戻します。

13. 今日の実践と合格チェック

手元の「少し違う」と感じたAI原稿を1つ選びます。期待と実際を1行ずつ書き、直す箇所を1つだけ指定してください。修正前後を並べ、残った問題を説明できれば合格です。

出典・更新メモ

2026年9月24日改訂。「失敗はすべてプロンプトが原因」という単純化を修正。切り分け表・演習・修正メモは本特典の実務用テンプレートです。

NEXT STEP

今日の一歩を、1つだけ。

読み終えたら、気になったテンプレートを1つ試してください。次の仕事で使えたことが、学びの成果です。